戦前は、総て非合法かそれに近い形での刊行でしたが、戦後になって出版が自由化されたためか、悪名高き艶本であった「バルカン・クリーゲ」も公刊されるようになりました。しかし、名ばかりの自由化という現実に、昭和四十年頃までに刊行されたものは、ほとんどが摘発を受けています。
「蚤の浮かれ噺」を刊行し、戦後の翻訳物艶笑本ブームの先駆けとなった、とされる東京書院では、第二段として「バルカン戦争」を刊行しています。
判型 | B6判 | 頁数 | 325頁 |
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著者 | ウィルヘルム・マイテル | ||
訳者 | 矢野正夫 | ||
発行 | 東京書院 | ||
刊年 | 昭和二十六年六月(摘発) | ||
目次 |
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戦後の昭和二十年代後半、艶笑本出版の雄として、所謂発禁本を立て続けに刊行した紫書房は、{世界艶笑文庫}シリーズの第五集として「秘話バルカン戦争」を刊行しました。同シリーズは、昭和初期に出版された地下、半地下出版の艶本を和文和訳して目次を薄め、公刊書としての体裁を保とうとして、ことごとく摘発を受けたものです。本書も、当然の如く摘発を受けています。 口絵にバルカン戦争挿絵の中から一図を採用しています。
判型 | B6判 | 頁数 | 238頁 |
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著者 | ウイルヘルム・マルテル | ||
訳者 | 松戸 淳 | ||
発行 | 紫書房 | ||
刊年 | 昭和二十六年七月(摘発) | ||
造本 | 原画挿絵一葉 | ||
目次 |
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戦後の艶笑本出版ブームの折、個人名で参戦して名を馳せた藤井純逍が刊行したのが「硝煙の影に」です。同氏が絡んだものは殆どが摘発されていますが、何故か悪名高き「バルカン戦争」である本書は、摘発を逃れています。
判型 | B6判 | 頁数 | 252頁 |
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著者 | ウイルヘルム・マイテル | ||
訳者 | 藤井純逍 | ||
発行 | 銀河書房 | ||
刊年 | 昭和二十六年十二月 | ||
目次 |
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先の銀河書房版のリメイク版です。発行は銀河書房のままですが、発売元を利根書院名義にしていますので、区別のため利根書院版としました。銀河書房版の時は摘発を受けずに無事でしたが、同じ内容の本書は摘発を受けています。
判型 | B6判 | 頁数 | 252頁 |
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著者 | Wilhelm Meitel | ||
訳者 | 藤井純逍編著 | ||
発行 | 銀河書房、発売所:利根書房 | ||
刊年 | 昭和三十五年八月(摘発) | ||
造本 | ハードカバー、本文アンカット、口絵一葉 | ||
目次 | 銀河書房版と同一 |
世界秘密文学選書の第二期別巻第三として刊行されましたが、同選書は本書も含め、数十冊に及ぶ大半が摘発を受けています。本文とは関係のない普通のヌード写真が巻頭四頁に亘っている所が、いかにも商売を優先させている、という雰囲気満点です。
判型 | 新書判 | 頁数 | 320頁 |
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著者 | ウイルヘルム・マイテル | ||
訳者 | 清水正二郎 | ||
発行 | 浪速書房 | ||
刊年 | 昭和三十九年八月(摘発) | ||
目次 |
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山王書房から出版された本書は、管見の範囲では、どの発禁本リストからも洩れていますが、所蔵本の裏見返しには「四十四 七 発禁本」、と手書されています。事実関係は判然としませんが、警告以上のことがあったことが想像できます。
判型 | B6判 | 頁数 | 294頁 |
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著者 | ウイルヘルム・マイテル | ||
訳者 | 安芸 順 | ||
発行 | 山王書房 | ||
刊年 | 昭和四十三年五月(摘発?) | ||
造本 | ハードカバー、しおりひも、カラー口絵、挿絵共八葉 | ||
目次 |
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昭和三年の初訳から、出版すればほぼ確実に摘発の対象となっていた、「バルカン・クリーゲ」ですが、情勢の変化は、遂に完全な形での公刊を実現しました。河出書房新社から「性の秘本コレクション」シリーズの第三巻として刊行されたものは、戦前の「バルカン戦争」を元にリメイクしたものです。かなり現代風にアレンジされていますので、往時の状態を知ることは出来ませんが、今でも手に入り、巻末の城市郎氏の解題も詳しく、良書といえるでしょう。
判型 | 文庫判 | 頁数 | 380頁 |
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著者 | ウィルヘルム・マイテル | ||
監修 | 城 市郎 | ||
発行 | 河出書房新社 | ||
刊年 | 一九九七年六月 | ||
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