「蚤の自叙伝」の公刊本はあまり見掛けたことが無く、ここに展示してあるものの他には「私は蚤である」(美学館、1982年10月)他数点(何れも未見)を知るのみです。
戦後の昭和二十六年、東京書院から刊行された「蚤の浮かれ噺」は、この後に続く艶本ブームの先駆けとなったものです。公刊本の常として、ホットパートの書換はある程度致し方のないことですが、附記に「…都合上、ベラの巻では、その一章を割愛した。その描写が、多少露骨にすぎるきらいがあったがためである。」
と書かれています。
しかし、省かれた章は、前編の第六章であり、僅か七頁ちょっとの、ベラーとは全く関係のない、言わばおまけの部分です。他の部分に較べて、特に露骨と言う訳でもありません。その代わり、ストーリーとは関係のないエピソードですから、ホットパートを除くと、何も残らなくなってしまうので省いた、と言った所が真相ではないでしょうか。本文全体は省略だらけで全く面白くありません。それでも地域的な発禁、と言われていますので、地方で摘発を受けたのかも知れません。
判型 | B6判 | 頁数 | ??頁 |
---|---|---|---|
著者 | アンドレ・マルション | ||
訳者 | 原一平 | ||
発行 | 東京書院 | ||
刊年 | 昭和二十六年四月 | ||
内容 |
ベラの話
|