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美和書院刊行の叢書紅鶴版十二巻、丹頂版五巻の後を受け、特別別巻の名称で追加刊行され、同叢書の終尾を飾ることになる。 印刷所に(との間で?)ゴタゴタがあり、丹頂版最後の「話をきく娘」刊行後、十ヶ月経ってからの発刊になった。 本書も「茨の垣」の復刻版解説に「小説「片糸」(後の『糸遊』)を書き」とあるので、かなり早い時期に執筆されていることが判る。 但し、稿本のまま眠っていたのか、何らかの形で発表されたのかは不明である。 昭和29年の事件の折り、稿本類は総て焼却したことを思うと、稿本として残っていたとは考え難く、「続風流賢愚經」同様、想を新たに書き下ろしたのではないかとも推測できる。 |