展示室開設準備中のため、仮設展示でお茶を濁しています。m(_)m
展示中の作品は「メッシナの宮殿」と題する洋物の古典です。 「バルカン・クリーゲ」や「蚤の自叙伝」程有名ではありませんが、何度となくリバイバルされている作品です。 しかし、その割にはこの作品の解題を見掛けたことは無く、同じ純粋な猥本(と言うのも変ですが)でありながら、先の二作品とは扱いがまるで異なります。 この辺の事情は、大正の末から昭和の初期に掛けてこの分野で活躍した梅原北明が、取り上げなかったのが理由ではないかと推察されます。 この時期の北明を中心として刊行されたものは、地下本でありながら戦前戦後を通じて多くの解説がありますが、その近辺を離れてしまうと、本当の意味で地下に潜ってしまい、状況がとたんに判らなくなってしまいます。
しかし、何でも有りの洋物ですから、猥本としての需要は多かったと見えて、 『メッシナの宮殿』の他、『夜の歓楽』、『弄肉』等題名を替えて、何回も刊行されています。 中編の為か単独で刊行されることは少なく、他の作品と併載されている場合が殆どです。
物語は、男性を近づけず、三人の侍女とパリのホテルに暮している貴婦人(シセラ伯爵夫人)が、避暑に来ていたシェルブールで溺れ掛かった所を同じく避暑に来ていた私が助けた所から始まります。 私は伯爵夫人の滞在する旅館へ赴き、挨拶をして別れます。 旅館を後にした私は、或予感から(よく有るパターンです)旅館にとって返し、館内のクローゼットの中に隠れます。 やがて、貴婦人と三人の侍女が登場し、その痴態を覗き見することになります。その後、夫人の部屋に侵入した私は、改めて女性四人と組んず解れずの…、というお約束のパターンになって行きます。
ちなみにメッシナと言うのは伯爵夫人が常宿にしているホテルの存在する街の名前です。
全体は以下の六章で構成されています。
それでは、「メッシナの宮殿」にお入り下さい。